奥の細道を求めて

仏を求める旅

仏教哲学のブログ記事

仏教哲学(ムラゴンブログ全体)
  • 私が初めてインドに来た時のこと #7

    忘れていたけど、もう一つ重要な場所があった。霊鷲山だ。 意味は禿鷲の山。頂上に禿鷲に似た大きな岩がある。平地からの高さは200mくらいだろう。マガダ国の王様も礼拝しに来たので広い道もある。ここでお釈迦様は多くの経典を説いたと伝えられているのだけど、説法座は写真からも判るように決して広くない。2,3... 続きをみる

  • シュレーディンガーの猫、生と死の重ね合わせ、縁起と無と空

    量子力学と仏教哲学との親近性について考えてみたい。 シュレーディンガー は量子力学の基本方程式であるシュレーディンガー方程式を23歳の若さで完成させた天才だ。でも自分で作った方程式を解いたら、その結果は常識とはかけ離れたものになってしまった。でも方程式に間違いがないことは確認済みなので、その結果を... 続きをみる

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  • 上座部仏教の主張する「大乗非仏説」への反論

    パーリ語で書かれた上座部仏教の経典はおそらく、お釈迦様の教えを確認するために集まった弟子たちによる初回の結集の後にまとめられたものだろう。なのでそこには原始仏教の面影が色濃く残っている。その結集ではアーナンダが記憶を元にお釈迦様の言葉を再現し、全員がそれに同意した。二回目の結集はそれから百年後に行... 続きをみる

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  • 勝義諦と世俗諦、あるいは空と縁起について

    勝義諦と空が同一なのと同じく、世俗諦と縁起は同一である、と私は考えている。 大乗仏教の二つの大きな柱が空と縁起であり、その価値の間に優劣の差はない、ということに異論がある人はいないだろう。そして勝義諦の内容が空であることも一般に認められている。でも世俗諦と縁起が同一であることはそうではないらしい。... 続きをみる

  • 私的理解による仏教思想の流れ

    仏教の始まりは2500年前にインドのルンビニー(現在の政治区分ではネパール)でお釈迦様が生まれ、35歳で覚りを開き80歳で亡くなるまでの45年間にガンジス河沿いの北インド各地で説いた教えを基にしている。お釈迦様は自身の言行を記録してないけど、説法に常に随行していたアーナンダ(お釈迦様と仲の良い若い... 続きをみる

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  • 解脱と煩悩

    解脱とは煩悩あるいは永遠の輪廻(業苦)からの解放である、という事はバラモン教でもインド仏教でも共通の認識だ。でもいったい解脱とはどういうコトなのだろうか。 最初に結論を言っておくけど、私が思う解脱とは禅宗で云われている生と死の重ね合わせのことだ。そして解脱するためには煩悩を完全に滅してしまってはい... 続きをみる

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  • 刹那滅

    時間論は物理学でも西洋哲学でも一大テーマだけど、私の知る限り仏教学に於いては刹那滅論しかない(とは言えそれは膨大な量なのだけど)。なのでまず仏教における刹那滅論を紹介したい。 刹那滅は仏教に於いて諸行無常を時間論の立場から説明した概念だ。流れる川のように、ものごとは一瞬(刹那)も留まらない、という... 続きをみる

  • 乱数表、あるいは空について

    乱数表は主にコンピュータ科学で利用される数学的道具の一つだけど、これを完璧に生成できるアルゴリズム(方法)は存在しない。 乱数表なんて勝手に数字を並べれば良いだけなんだから、最も簡単に作れるんじゃないかと思うかもしれないけど、乱数表には人の意思も何らかの物理法則も数学も時間も介在させてはいけない、... 続きをみる

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  • ポール・ヴァレリ

    ヴァレリ はフランスの詩人で、かつ批評においては他に並ぶもののない天才だった。彼の個人的なノートであった『カイエ』に述べられた事柄は今でも私の指針としてある。特に私が24歳の時に読んだグラディアートルの章に述べられた事がらは今の私の人生を決定したと言っていい。 グラディアートルとはその当時のフラン... 続きをみる

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  • 中道について

    大乗仏教の基本理念である中道の解釈には変遷がある。最初にお釈迦様が説いた中道は、苦行によっては涅槃(ニルヴァーナ、こころの平安)に至ることはできない、ということだった。マハーバーラタを部分的にだけど読んでいるとバラモン教の多くの苦行者は圧倒的な力である神通力(超能力)を手に入れてその力によって自分... 続きをみる

  • 「縁起」と「輪廻」について

    輪廻とは何か、何が輪廻するのだろうか。 輪廻の核となるような「私」という実在はない、ということは龍樹(ナーガルジュナ)以降の大乗仏教の歴史の中で揺らいだことがない確信だ。ではそのよう核が無いなら、一体何が輪廻するのだろうか。 私はここで唯識思想を検証したい。主に無着(アサンガ)で 唯識といえば世親... 続きをみる

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  • ニカラグア手話、あるいは言語とはどういうものなのかについての考察

    言語学に興味がある人なら知っていると思うけど、ニカラグア手話の発生と発展の歴史の記述は言語学においての一大トピックだった。 私自身誤解していたので先ずことわっておきたいのだけど、手話は世界共通の言語ではない。国の数だけの手話の種類があり、しかも各国で方言まであるらしい。つまり手話も自然発生言語の一... 続きをみる

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  • 「無自性」とは何か

    今回は少し、仏教哲学に関する専門的な議論になってしまうので、興味がない方はトバしてください。 「自性は認めない」というのが仏教の最も基本的な立場なのだけど、では「自性」とは一体何なのだろう。仏教哲学で最も重要な用語の一つなのだけど、重要な概念だけにこれを明確に定義した用例を私は知らない。 私が思う... 続きをみる

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  • 時間と言葉 (直子さんのブログ記事から)

    直子さんはインドのダラムサラでチベット仏教を勉強している方で、その成果をご自身のブログ(https://www.dechen.jp/)で公開している。直子さんは私がダラムサラでチベット語を教えてもらっている先生でもあるので、まずはそのブログ記事を紹介しよう。 『時間』 (時間は)過去、古代インドで... 続きをみる

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  • 言葉とは何か 2.

    次に唯識派の言語観について考えてみたい。 唯識派では「識の本質は現象をとどめることにある」と考えられている(私も意識の本質は刻々に移り変わる現象を留めるものだと考えている)。そして識とはコトバのことだ。 唯識派では「識」の構造をアーダナ識(分別意識)、マナ識(自意識)、アーラヤ識(無意識)の三層に... 続きをみる

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  • 言葉とは何か 1.

    私は、仏教の本質とはすべての生き物に共通の、生き延びるために必要な煩悩によって価値付けられた固定的現実世界、世俗(無明)から → 空(明)の世界を経由して → 縁起(自由な世界)としての現実を生きる(幸せの)こと、ではないかと思っている。 その三層の世界は違うものではない。お釈迦さまが遺されたお言... 続きをみる

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  • 柔らかいこころ

    私は、仏教を学ぶ上で(のみならず、現実を生きる上でも)最も重要なことは「柔らかいこころを持つこと」だと思っている。これは道元禅師も仰っている。中国から帰国した道元は、朝廷に謁見し「お前が中国から持ち帰ったものは何か」という問いに対しただ一言「柔軟心」とお答えになった。当時国費で中国に留学した人びと... 続きをみる

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  • 数学とはどのような学問であるか

    数学の数(存在)の体系は、自然数ー分数ー整数ー無理数ー虚数、と増えてきた。 例えば、1+1=2 であるというのは、それは 2 という数があるからで、もし 2 という数がなかったら 1+1 の答えはどうなるだろうか。 [余談だけど、エジソンは小学生の時「なぜ 1+1=2 なのか」という質問を先生にし... 続きをみる

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  • 芭蕉と子規の俳句についての私の解釈

    田一枚 植えて立ち去る 乙女かな 芭蕉 うろ覚えなので、この句がこのままだったかどうか分らない。そして以下に述べるのは、まったくの私の空想だ。 ある日、芭蕉が長い旅に疲れて、陽にきらめく美しい瑠璃/陽炎のような水が張る田んぼの近くの、大きな木(たぶん20mくらい離れている)の根方に寝ころんで休んで... 続きをみる

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  • 神秘主義と井筒俊彦

    私が自由に使える言葉は日本語しかない。でも世界にはことばの天才と呼ばれている人たちが多くいる。その一人が『コーラン』を和訳した井筒俊彦という人だ。世界的に有名な哲学者であり宗教学者でもある。30ヶ国語を自由に使うことができたらしい。とても信じられない話だ。 噂では各国の大使館員を自宅に呼んで教えて... 続きをみる

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  • 空と縁起

    空と縁起を説きたまえる釈迦牟尼仏と龍樹菩薩に礼拝いたします さて、以前の記事(『鬼滅の刃』と『魔法少女 まどか☆マギカ』、あるいは〈自性の否定〉についての考察)で、空と縁起について述べたのだけれど、仏教哲学については少し不明瞭で分かりにくかったと思うので再度、空と縁起および言葉との関係性について考... 続きをみる

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