奥の細道を求めて

仏を求める旅

白露の時節



清明時節雨紛紛

路上行人欲断魂

借問酒屋何処有

牧童遥指杏花村


春の盛りの清明の季節はよく雨が降る。好季だというのに、

今日もこぬか雨の降る中を野歩きしている。

道行くわたしの心はすっかり滅入ってしまった。

酒でも飲んで気晴らしをしようと酒屋はどこにあるかと尋ねると、

牛飼いの少年の指さすかなたに白いあんずの花咲く村が見えた。


便利な時代になったものだ。ネットをググれば探しているものがすぐに見つかる。これは唐の詩人、杜牧の『清明』という詩とその翻訳なのだけど、この訳で気に掛かるのは「春の盛りの清明」という語句で、私は清明は春の初めの3月上旬だと思う。「春の盛り」では細かい雨に身を震わせて歩く旅人にはふさわしくない。


なので私なりに改訳してみたい。


春まだ浅い頃に降る雨は細かく冷たい

道行く旅人は今にも倒れてしまいそうだ

ねぇ君 ちょっと聞くけど何処かに酒を飲ませてくれるところはないかな

牛飼いの少年はただ遠く白い杏子の花咲く村を指さした


この状況は私がいるダラムサラの秋にも当てはまる。今は9月下旬でようやく雨季が終わろうとしている季節(私の感覚だと今日9/29日で雨季が明けた)で秋の始まりだ。インドとは言えダラムサラは標高が高いので冬は寒い。秋の初め(季節を細かく分けると白露の時節というらしい)でも常に上着を用意してしておかないと、突然雨が降り出して凍えるくらいになってしまう。そんな時には、私もやはり酒が欲しくなる。

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