奥の細道を求めて

仏を求める旅

マイク タイソン

ヘビー級最強のボクサーがいた。その名はマイク タイソン。ヘビー級にしては少し背が低いけど、その意志が強烈だった、どんな相手でも一発でその歯を叩き折り、あっという間にぶちのめしてしまう。まるでフランスの最強馬、グラディアートルのようにね。その骨の太さ、隆々とした筋肉、そして何よりもそのスピードと飛び抜けた動態視力を持っていた。まるで巨大な牡牛だ。ギリシャ神話のミノタウルスのように。でもミノタウルスは迷宮に閉じ込められてしまったけれども。

タイソンはアメリカ、ブロンクスで生まれ育ち、子どもの頃は毎日ケンカに明け暮れていたらしい。根っからのストリートファイターで、もちろん負け知らずだ。

そんなタイソンの唯一の欠点がその心だった。

子どもの頃のその才能を見抜いた老名トレーナーに見い出され、英才教育を受けて育てられた。でもヘビー級統一チャンピオンになってから、その名トレーナーとは別れてしまう。理由はわからない。自分自身の実力だと思ってしまったのだろうか。その後はもうボロボロだ。こんな相手に負けわけがない、という相手にも負けてしまう。私生活も荒れて、結婚相手とも別れ、毎日飲み屋で飲んだくれ、素人相手にケンカを繰り返し、やがてはその素人にも負けてしまう。

あのタイソンは今でも生きているのだろうか。あの心は今どうなっているのだろうか?

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