詩 あるいは猫町のゴミ箱の中
いつか僕は 渡鳥に運ばれて ジャングルと海にはさまれた 小さな砂浜に落とされるだろう
醜女等と食う 空豆の風のいろ
うねりの海に 沈む陽の 音がする
わたしのひだりてが ゆっくりと わたしのみぎてを にぎりつぶしていく
宝石箱をこぼしたような 雪の山のオリオン座
水溜りに 靴を濡らして蹲る
山合いの礫路を一人歩き 山間いの褥に一人寝る
ベッドの中の 青いヘビと金色のウィスキー
タルチョルの青は「あ」 白は「う」 赤は「え」 緑は「い」 黄は「お」
おっと 、これはランボーのパクリだ。
ロビンソン・クルーソーが好きだった少年の頃のある日、僕は妹たちと一緒に川沿いの田んぼのあぜ道でお昼を食べていた。すると光の加減なのか、その川がまるで海のように見えて、思わず、そこに飲み込まれてしまうんじゃないかというような怖れを感じてしまった。真っ暗な海の底の重い水圧に僕の内蔵まで押し潰されてしまうような怖れ。そんな白昼の幻から、ふと気がつくと、いつの間にか僕は一人で星の輝く山の中にいた。でもその時には、もうあの怖れはすっかり消えていて僕は暗闇の中にゆっくり立ち上がり一歩を踏み出すとそれは雪で、足の裏に冷たさを感じた。それは爽やか冷たさだった。手さぐりで歩いて行くと、暗さにも目が慣れてきて、アンナプルナが見えた。その山は雪女のようにも見えたけど、幼い頃に亡くなった母の面影のようにも見えたので、僕はそのまま雪の中に寝てしまった。するとその中には、小さな可愛い青いヘビがいた。