奥の細道を求めて

仏を求める旅

昨夜雷が落ちた。9時頃だったと思う、ベッドで横になっていた私は突然の、空気を切り裂くようなもの凄い音で、本当に心臓が縮み体が飛び上がるくらい驚いた。「魂消る」という言葉は聞いた事があるけど、実感したのは初めてだ。たぶん近くに落ちたのだろうとは思ったが、今朝屋上に上がるとホントに目の前だった。


裂けた木の肌が生々しい。砕けた樹皮の破片がここにまで散らばっている。隣のゲストハウスの横に立っている木なので、ここからは10mくらいの距離だろう。こんな近くに雷が落ちた体験は初めてだ。できれば実際に落ちる瞬間をこの目で見たかった。私はタバコを吸うためによく屋上に行く(室内は禁煙なので仕方なく)。だから運さえ良ければ見られたはずなのに、残念でならない。

インドの神話では雷はインドラ神(注を参照)の矢だと言われている。もしかしたらインドラ神のお姿を拝見することができたかもしれないのに。


これはたまたま近くにいたトンボ。インドラの化身ではない、とも言い切れないんじゃないだろうか。


※注 インドラ神

日本では帝釈天と呼ばれている。寅さんの映画に出てくるあのお寺の名前だ。なぜ仏教のお寺にインドの神様の名前が付いているのかというと、私は偶々そのイキサツを知っているので自慢気に教えてあげよう。

その昔、たぶん江戸時代、このお寺は経済的な危機にあった。当時の柴又は小さな村だったので思うようにお布施も集まらなかったのだろう。そんな時、和尚さんがお寺の物置で偶然古い版木を見つけた。神様の像が彫ってあるのだけどその神様が誰だかわからない。そこで和尚さんが江戸まで出かけて行って物知りに尋ねてみると、それは天竺の帝釈天という神様の像でとても珍しいものだ、と教えられた。そこで和尚さんは思いついた、この版木を刷って売ったら売れるんじゃないだろうかと。実際に売ってみると、珍し物好きな江戸っ子達の間で評判が評判を呼び、飛ぶように売れてようやく経済の危機を脱することができた。それ以来、このお寺は帝釈様という通称で親しまれている。今では寅さんのお陰で潤っているので、寅さんは帝釈天の生まれ変わりかもしれない。

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