奥の細道を求めて

仏を求める旅

瞳の中で

君の瞳の中で素裸の僕と君はひとつになる 撚糸島の上で

撚糸島は小さな繭で 僕と君を包み

深い霧の中で 空の雲と海の波のあいだを漂う


そこにはすべてがある

雪の上を飛ぶ兎の足跡も それを追う狐の足跡も

枯葉の舞う音も それを踏む祭の灯の騒めきも

照りつける真昼の太陽も 土に蒸せ返る草いきれも

梅の香を運ぶ東風も それに乗る柳の綿毛も


しかもすべてがない

かたちも いろも おもさも じかんも なく

ぼくと きみさえも ない

うちゅうがきえたあとの かんぜんな ちんもくのように

でも それでみちたりていて それがすべてだ


だから君よ 空と海だけを見つめて

決して目を閉じないでくれ

迷い子の僕にとって それはとてもはかないのだから

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