奥の細道を求めて

仏を求める旅

ダージリンの散歩、の続き

坂道を少し下ると小さな店があり、卵と鶏肉とほんの少しの野菜、雑貨、菓子を売っている。畳一畳より少し広いくらいだろう。ほんの小さな店。

すぐ上の広場まで行けばもっと大きな店がたくさんあるけど、どうせ買うならこんな店がいい。さらに下る。

奥の影の中の女の子がその前の家のドアをノックしていたけど、留守だったのだろう、そのまま立ち止まっている。また下る。

この写真が、今まで撮った写真の中で一番好きなのだけど、何がいいのか撮った自分でも解らない。構図、角度、光の加減、三人の女性たちのそれぞれの姿勢、空の蒼さとその組み合わせなんだろうけど、すべては偶然だ。

ドイツの風景画家でフリードリヒという人がいる。もう200年くらい前のドイツ・ロマン派の画家だけど、その人はアルプスの風景をよく描いた。宗教的な風景画で、おそらくアルプスの自然の中に神の姿を見ようとしたのだろう。

私も絵が描けたら、こんな絵を描いてみたいものだ。この写真はそれに少し近いような気がするのだけど、どうだろう。この横の店でチョコレートを買って、もっと下る。

ようやく山門に着く。少し歩くと小さな本堂があり、坊さんが洗濯していた。本堂入口の両横の壁画にはチベットの修行者が二人。奥にご本尊様がいらっしゃって、少し迷ったのだけど、結局そこには入らなかった。これまたなぜだかわからない。仏様と私との隔絶を感じたせいかもしれない。

昼近くなったので戻る。標高が高いせいだろうか、5分登ると息が切れてしまって5分休む。急な坂道で足も疲れているからそのくらいのペースが丁度いい。広場の下まで戻ると、道端に猿の母子がいてリンゴのようなものを食べていた。観光客に貰ったのだろうか。

喫茶店でダージリンティーを飲んで休憩し、裏通りで遅めの昼飯を摂る。

ここは私がよく来るチベット料理の食堂でチキンモモが旨い。ちなみにモモというのは餃子のような、肉饅のような、もの。表通りの洒落た店で食うと250ルピーが、ここだと80。しかもこっちの方が旨いのだから申し分ない。おまけにここではビールが飲めてタバコも吸える。メニューには載ってないし壁には ''NO SMOKING'' と書いてあるけど関係ないらしい。みんな飲んで吸っている。その店内。

腹一杯食った。午後3時、そろそろ寒くなって来たので満足してホテルに帰る。

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