奥の細道を求めて

仏を求める旅

コヒマ3、4日目

7時に目を覚ますと、とにかく腹が減っている。でも金を引き出すのが先だ。もう1日だって長くこんなところにはいたくない。また現金切れ、になんてなっていたら溜まったもんじゃないのでとにかくATMに急ぐ。今回はうまい具合に現金が補充されていて10,000ルピーを引き出すことができた。これがインドのATMの引き出し限度額だ。とりあえず飯、崖の上に張り出した小屋でインドの朝飯プーリー、揚げパンとサブジー、野菜カレーを食う。両方で20ルピー、34円。チャイ10ルピー、17円。10年前は3~5ルピーだったから物価は2~3倍になっている。1ℓのミネラルウオーターが20ルピー。現金が手に入り腹が満ちると安心する。次は寒さ対策に服を買いに行く。ダウンジャケット5000、マフラー1300、靴下3足110、厚手の下着3枚1800、締めて8,210ルピー、13,957円。買い物をして高いホテル代を払ったら10,000ルピーくらいすぐに無くなってしまう。何度も下ろさせて機械の利用料を取ろうというのだろう。銀行ががめついのはどこの国でも同じだ。時間があるので床屋に行った。40ルピー。

いかにも職人気質といったオヤジさんで、腕は悪くないが乱暴だ。太い指で頭をワシワシ揉まれ、手のひらでパンバン叩かれる。その横のレストランで昼飯、ビーフカレー150ルピー。でもここの牛肉は硬くてとても噛み切れない、半分だけ食べてあとは残してしまった。

ホテルに戻って受付でディマプルまでの行き方を確認する。まずバスステーションの場所を聞くけどこれがわからない。ちなみに、インド人は地図を見ないし、書くこともできない。しかもタクシーは行かないと言う。じゃあどうするんだ、と言ったら、普通はタクシーを利用するとの答え。値段を聞くと300ルピー、個人で乗るタクシーではなく乗合タクシーの事だったのだ。初めからそう言ってくれよ、オジさん。それならもちろんタクシーにする。手配を頼むと何だか困ったような顔をしている。それには構わず、何時にタクシーが迎えに来るのか、と聞くと6時から7時くらいとの答え。じゃ明日の朝6時にここにくるからと言って部屋に帰った。


翌朝6時、受付に行ったが誰もいない。ホテルの入り口まで上がって行くと、車の修理をしている。「タクシーは?」と聞くと、タクシーが必要ならあそこにいる、と近くのタクシーを指差す。何を寝呆けた事言ってんだコイツは。「ディマプルに行くタクシーだ」と言うと、まずいな、という顔をして「タクシーは来ない」とボソッと言う。「一体どういう事なんだ」と詰問すると「マネージャーに聞いてくれ」だと。「マネージャーなんて俺は知らないし、俺はお前と話してるんだ」と言うと黙ってしまった。「部屋で待ってるからな」と言うとおとなしく「OK」との返事。そのまま部屋に帰ったが午前中は何も言って来ない。昼になったので、念のため昼飯を食いに行くと告げてからホテルを出た。戻ってまた奴を探したがどこにもいない。今日もまたここに泊まるのか、と諦めかけた3時半頃、ドアがノックされた。奴だ。もう一人若いのを連れている。何を言うのかと思ったら「今日は泊まるの?」だと、呆れてものも言えない。「こっちは朝から待ってんだ」と怒鳴ると、若い奴が慌てて走り出した。「仕度して5分だけ待ってくれ、すぐ来るから」と言う。奴の運転でタクシーの乗り場まで送ってもらった。午後4時半、辺りはもう暗くなっている。8人乗りの車に11人押し込められると、奴はもう見えない。でもとにかく、これでここから抜け出せると思うとホッとする。

タクシーが走り始めると相変わらずの凸凹道。しかもこの運ちゃんの運転が乱暴で飛ばす事と言ったらない。こっちは身動きできない状態のまま飛んだり跳ねたり。思わず、うっ、という呻き声が漏れてしまう。そんな車に4時間、ディマプルに着いたのが夜の8時半。運ちゃんは気を利かせて列車のチケットを買ってくれるが、今からだともうスィリグリまで行く列車はないのでグワティで乗換えてくれ、と言う。もうなんでも構わない、とにかくここから抜け出せさえすればいいと思ってチケットを買ってもらった。90ルピー、153円、驚くほど安い。9時発だと言う。列車はすでにホームに止まっている。でも、落ち着いて改めてチケットを見てみると、印刷がボヤけていて何が書いてあるのかさっぱり読めない。誰に尋ねてもわからない。どの車両に乗っていいのか、シートはどこなのか。迷っている内に、多分これは二等座席のチケットだろうと気がついた。なら席は決まっていない。二等車に行ってみると通路にまで人が溢れている。とてもこれに乗る根性はない。諦めて列車を降り見送ることにした。発車のベルが鳴りドアが開いたままゆっくり走り出すと、慌ててそれに飛び乗る人もいる。さて、こうなるとホテルを探さなくてはならない。すでに夜9時を過ぎている。駅からHOTELの看板が見えたので行ってみたら「ここは食堂だけで泊まる事はできない」と言われた。飯だけでもHOTELというらしい。とすると、モレーで見た看板だけのHOTELも飯屋だったのだ。泊まらなくてよかった。駅前なので泊まれるホテルは幾らでもある。最初の二軒は満室だと断られたが三軒目で空部屋が見つかった。500ルピー。シャワーは共同だがお湯は出るしWi-Fiも繋がる。800出せば個室にシャワーが付く。このくらいがインドのホテルの相場だ。熱いシャワーを浴びたかったけど、疲れ果てていたのでそのまま寝てしまった。

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