奥の細道を求めて

仏を求める旅

解脱の家

日本にいた時に、『ガンジスに還る』というインド映画を岩波ホールで観た。

インドには『解脱の家』と言う場所がある。死を待つ人の宿泊施設だ。

インドでは一般に宗教の目的は『輪廻からの解脱』にある。輪廻というのは業による束縛であり、解脱はそこからの解放のことだ。輪廻は牢獄であり、解脱は自由であること。『完全な自由』を手に入れることをヒンドゥー教でも仏教でも求めている。ただ、その『自由』の有り様とその為の方法を巡って相違が生まれるだけだ。方法論として、死を前にしてヒンドゥー教徒はヴァラナシを目指す。金の無い人は路上で死を待つが、余裕のある人は『解脱の家』に宿泊して導師の導きを助けに解脱としての死を待つ。その映画の舞台がここ、ヴァラナシの『解脱の家』で、映画のロケ地はガートにあるが、本物はここ、ガートから800mくらい離れた町中にある。

その門。काशी लाभ मुक्ति भवन カーシー ラーバ ムクティ バワン 「ヴァラナシの宝 解脱の家」という意味だと思う。

その建物。手前のお爺さんが導師であるらしい。

入り口横の壁に嵌め込まれた大理石のプレートは、ヴィシュヌ神への賛歌だと思う。

入り口を入って正面の棚の神様。神猿ハヌマーンと神妃ドゥルガー。

写真が撮れるのはここまでで、この先は2m四方くらいの吹抜けを囲んで、地上階から上2階に宿泊部屋が並んでいる。残念だけど宿泊している人達に会うことはできなかった。内部の写真撮影も禁止されていたけど、幸運にも、一室だけ空き部屋があったのでその内部を見せてもらうことはできた。六畳くらいの広さでこの部屋には窓が無い。瞑想、心を落ち着かせるためだろう、夜は真っ暗になる。昼間でもドアを閉めれば暗く、通りから離れているので騒音もない。ベッドが一つあるきりなので、付添いの人はベッドを持ち込むのだろうか。煮炊きは別の部屋でやるのだろう。映画では閉鎖されてない部屋で息子が下手くそな料理を作っていたのだけど、実際のここは閉鎖された個室なのでそれは出来ない。でも家族が訪れれば、それなりの人数は泊まることができる。映画にもそんな家族団欒の場面があったっけ。

ロケ地はここ、ナンディシュワル・ガートにある。実際の建物はエクササイズと結婚式場の複合施設で、映画でも重い鉄輪を回している男達や、

ここでヨーガに耽る瞑想者が描かれていた。

でも実際に見えるのはガートで籠を編む女達だけ。

瞑想者は人知れず隠れているのかもしれない。

映画にも描かれていた『オーム』の文字と、ガンガーの女神。

このアングルからの映像もあったっけっ、かな。

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