奥の細道を求めて

仏を求める旅

バンコク → スコータイ

さんざんな1日だった。

今日の予定はバンコク駅から8:30の列車に乗ってピッサヌロークまで行き、そこからバスでスコータイの新市街へ、バスを乗り継いで旧市街へ、計算通りに行けば14:00頃には予約しておいたホテルに着くはずだった。

ところが寝坊してしまって目を覚ましたのが8時少し前、慌てて荷造りしてチェックアウトしたのが8時、タクシーを呼んで欲しいと言ったがここからはタクシーを呼べない、大通りまで出て拾ってもらいたいと言われてしまった。ホテルを出ると目の前に4、5人の客待ちのタクシーが呼び込みをしていた。東南アジアのタクシーには縄張りがあり、ホテルが呼べないと言ったのはこのせいだ。交渉制で高いのは知っていたけど急いでいるので仕方ない、200バーツで行ってもらった。幸い渋滞もなく15分前に駅に着くことができたので安心してタバコ吸っている時に、スーツケースを持っていない事にようやく気がついた。タクシーのトランクに置いたままだったのだ。また慌てて降りたタクシーを探したがもちろんもういない。取り戻すためには乗ったところまで戻らなくてはならない。列車のチケットをキャンセルして半額だけ返してもらいメータータクシーでカオサン通りまで戻った。この時の料金は60バーツ。ホテル前まで歩いている時に、ああいうタクシーはヤクザみたいなものなので、「知らないよ」と言われてしまえばそれまでだと思った。貴重品は身につけていたので最悪の場合は失くしてしまっても旅は続けられる。半分諦めながら戻ると、仲間たちがいて「今ドライバーが駅でお前を探している」と言った。それほどの悪党ではないらしい。15分くらいで戻ると言われ、木陰にイスを出しミネラルウオーターとタバコをくれた。タクシーが戻りトランクを手にした時にやっと安心した。間違いがないかどうかチェックしてくれと言う。こんな短時間で開けられるわけはないので、鍵だけを確認してOKだと言った。また駅まで戻らなくちゃいけない。また乗ってけよと言われたけど値段を聞くとやはり200バーツだ。冗談じゃない。今度は急いでいないので大通りまで戻りタクシーを拾った。駅でチケットを買い直したら次の列車は2時間後だ。

ようやくピッサヌロークに着いたのが4時頃。そこからバス停までは歩いて15分くらい。田舎町なので標識もない。近くに人が集まっていたので聞くとやはりそこがバス停だった。いつ来るかわからないバスを待ち、乗るバスを教えてもらってスコータイの新市街に着いたのが7時頃。もうすっかり日が暮れていた。ターミナルなので近くに町はない。トゥクトゥクの運ちゃんがやって来て、300バーツでホテルまで連れて行くと言った。乗り合いバスなら30バーツだけど、この時間じゃもうバスはない。心細くもあり、疲れてもいたので、交渉するのも面倒で言い値で乗った。ところが旧市街の入り口に着くともう門が閉まっていて入れないと言う。そこで乗合バスに乗り換えさせられた。ターミナルで探せばまだ走っていたのかもしれないが、それは仕方がない。ホテルに着いたのが9時頃。

スコータイはタイの古い都で仏教遺跡が多く残っている。静かなところだろうと思っていたら、一大観光地になってしまっていた。車が渋滞していてネオンライトが点き酔っ払った外国人観光客がひっきりなしに歩いている。おまけに花火まで上がっている。観光シーズンが始まったらしい。遺跡公園に入ってみようかとも思ったが、あまりの混雑が嫌でやめた。ホテルに戻ってスタッフを呼んだが誰もいない。やっと来た奴は中年男でぶっきらぼうで愛想も何もない。部屋に入るとそこは狭くて壁はベニヤ板の張りぼてで外の音が筒抜けだ。もう何もかもが嫌になり、楽しみにしていた遺跡も見ずに翌日バスに乗って国境沿いのメーソートに発ってしまった。最悪の1日だ。

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