奥の細道を求めて

仏を求める旅

インチキタクシー

あんまり何度も騙されているのも自分がバカだからだと思えて来て、腹が立ってしかたないので今まで書かなかったけど、それもそろそろ落ち着いてきたので書いてみる。

サイゴンの歓楽街のホテルから別のホテルに移る際にタクシーを呼んでもらった時の事、このタクシーがとんでもないシロモノだった。途中で何かおかしいなとは気が付いた。来た時から降りて荷物をトランクに入れようともしない、車体は前に騙されたタクシーに似ている、この街並みはさっきも見たような気がする、メーターの上がるのが早すぎるような気がする、でもホテルが呼んでくれたタクシーだから間違いはないだろうとあまり気にせず乗っていた。20分くらい走ったと思う。着くと「そこだよ」と言った感じで指を差した。でもどこだかわからない。少し腹が立ったので、日本語で「どこだよ」と大きな声で言ってみた。でもやっぱり指を差したまんま。よく見ると路地が行き止まりになっている。多分その路地の中にホテルはあって、車では入っていけないのだろう。メーターを見ると50何万何千ドンと表示されている。高いな、と思ったが仕方ない。とりあえず50万ドン札を渡し、何万ドンかを数えて渡すと2万ドン札を私に見せた。さっきのは50万ではなく2万だったと言いたいらしい。似ている札なので間違えたのかもしれない思い、2万を受け取りあらたに50万と数えた何万かを渡した。さらに何千かを数えていると、慌てた感じで私を降し急いで行ってしまった。この時になって初めて、私は騙された事にはっきりと気がついた。

ホテルで地図を確認してみると、せいぜい5kmくらいしか離れていない。車なら5,6分だ。正規の料金なら5万ドンくらいだろう。メーターも細工がしてあったに違いない。もちろん札はすり替えたのだ。20倍も騙し取られてしまった。我ながら呆れてしまう。詐欺は騙される方も悪いと聞いた事がある。書いてみると、今さらながら自分のバカさかげんに腹が立ってしょうがない。

でもなぜホテルがあんなに酷いタクシーを呼んだのだろう。もしかしたら、グルだったのかもしれない。ロクに寝る事も出来ないようなホテルだったので2泊の予約を1泊で切り上げてしまったのだ。どうせ二度と来ない客だし、最低な評価をされるくらいなら取れるだけ取ってしまおう、と思ったのかもしれない。そうでなければ、タクシーがホテルに対して商売できなくなってしまうだろう。イカサマ師だって、胴元との信頼関係は裏切れないはずだから。

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