奥の細道を求めて

仏を求める旅

サンジャナとクリシュ


最近アパートの同じ階のこの子がよく部屋に遊びに来る。サンジャナという名で12歳(私は最初9歳くらいだろうと思っていたのだけど)だ。


お兄ちゃんの方はクリシュという名で14歳くらいだろうか。二人とも近くの同じ学校に通っている。私の部屋に来る時は大抵お菓子やお小遣いをねだりに来るのだけど、サンジャナの方がクリシュよりもねだり方が上手くておもしろいので書いてみようと思う。

部屋にたまたまクッキーやチョコレートがある時にはあげるけど、無い時には10ルピー(17円くらい、インドの物価は日本の13くらいだから日本の感覚だと50円くらい)欲しいとねだって来る。「ダメ」と言うとクリシュはすぐに諦めてしまうけど、サンジャナは食い下がって「じゃピーナッツを買って来てあげる」と提案して来る。ピーナッツの代金として10ルピー渡し、お駄賃として10ルピーをあげる。無闇にお小遣いをあげてしまうのは良くないと思うけど、労働に対して対価を支払うのは正当なことだ。まあちょっとその対価が高いかなとは思うけどね。でもサンジャナが上手いのは自分のお小遣いとして買って来たお菓子を私に見せてそれを私に少し分けてくれるところだ。一緒に食べてその美味しさを共有しようとする。そしてその時の表情も豊かでさすが女の子だと思う。コミュニケーション能力はインドでも日本でも女性の方が高い。これは自閉症の罹患率が女性に比べて男性の方が有意に高い、ということとも関係するのだろう。私も人とのコミュニケーションが苦手なのでサンジャナのこのような対応の仕方は参考になる。

話は変わるけど、このあいだサンジャナが部屋にやって来て体温計を貸して欲しいと言ってきた。お母さんが風邪を引いたらしい。コロナかもしれないと心配したのだろう。測り方と平熱、高熱の判断ができないらしかったので私が行って測ったのだけど、その時に初めてサンジャナ達の部屋を見た。必要最小限のもの以外は何もない。くっつけたベッドが2つ、ごく簡単な調理器具、小さくて粗末な棚、音の出ない小さなブラウン管テレビ、それだけだ。そんなものを見てしまうと、サンジャナとクリシュに多少甘くなっても仕方ない。

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