スーフィズム
スーフィズムはイスラム教の神秘主義的側面を代表するもので、私は井筒俊彦を読んでからずっと興味を持っている。
神秘主義というのは、宗教あるいは哲学において「何か絶対的なもの」に触れた個人的体験に基づいているので言語化(共通化)は難しい。その中でスーフィズムはイスラムの神と人との一体感を述べたもので、人と神との二元論を超えてその一元化を目指すものである。なので人と神を絶対的に分離するキリスト教とは相性が悪いし、イスラム教の中でも少数派らしい。
今回のインド・パキスタン戦争の元は、イスラム教徒の多いカシミール地方

をインドとパキスタンのどちらに帰属させるか、という問題に発している。インドがイギリスから独立した時、インド国内の多くのイスラム教徒は西に移住してパキスタンを建国し、それぞれインドとパキスタンとして独立したのだけど、でもその時インドとパキスタンの中間にあるカシミールの王はインドにもパキスタンにも帰属を表明しなかった。何故ならカシミールのイスラム教徒の多くがスーフィズムであったからだ。スーフィズムはイスラム教の中では少数派なのでパキスタンに帰属したら冷遇されるだろう。宗教に寛容なインドに留まった方が自分たちの独自性を維持し易いと考えたのかもしれない。しかしカシミール内のイスラム教徒にはパキスタンに共鳴する人も多いので、今回パキスタンはカシミールにテロリストを送りインドに損害を与えるため外国人旅行者を殺害した。その報復として今回のインド・パキスタン戦争が勃発したのだけど、戦争当初からインド人はあまり大事にはならないだろうと考えていたらしい。平和慣れした日本とは違ってインド・パキスタンは喧嘩慣れしているので、大事になる前に落とし所を見つけるだろうと予測していたらしい。そして実際その通りになりそうだ。でもそれはカシミール問題がより先鋭化したことでもある。問題を根本的に解決するためにはスーフィズムをイスラム教の中でどのように位置付けるのか、インドの中でどのように許容できるのかを明確にしなくてはいけない。
私は、バラモン教には「梵我一如」という思想があってそれはスーフィズムの思想と近いのだから互いに理解し合えるんじゃないかと思うのだけど、でもこの考えは宗教に疎い日本人だけのものであるのかもしれない。多神教であるバラモン教の梵(ブラフマン[宇宙原理]あるいはブラフマー[創造神])と一神教であるイスラムの神は決して相容れないのかもしれない。