インド山間の小さな村にて
深い谷間に見たこともない鳥が飛び交い 何羽もの美しい蝶が舞い踊る
犬がせわしなく餌を嗅ぎ回り 牛は暢気に道端で寝る
陽射しは強烈だけど日陰に入れば寒いくらい
新しい暮らしが始まり 世界は再編される
目の端に金色のウィスキーが映り 遠くにヒマラヤの山々がある
今 世界/意味の全体は再構築されようとしているのだけれど
突然 それらすべてが無になってしまった
現実の色彩と重みが失われ時間が止まり パニックに陥る
深い恐怖に呑み込まれ 夕陽に映る赤い繭の中に私は隠れた
どれくらいそうしていただろう
時間は止まってしまっていたけれど太陽と月は動いていたらしい
フト気がつくと手にグラスを持ったまま
私は無数の星が瞬く音の無い深い海の中にいた