奥の細道を求めて

仏を求める旅

シベールの日曜日


風の中のだれかが私のほんとうの名を呼び

そっとささやく

シベール ぼくはきみを知っている

ほんとにわたしはシベールなの それはほんとなの

もしそれがほんとなら

あの屋根の上の鶏をわたしに見せて

わたしはずっとあの鶏がわたしだと思っていたんだから


ひとりだけでずっと屋根の上にいて 風だけが友だちだった

いつも寒く冷たく雨に濡れていた

だれもいなかった

あなたがわたしをほんとに知っているなら

あの鶏をわたしのそばに連れてきて

そしてわたしにその冷たい鶏を抱かせてほしい

巣から落ちて泣いている小鳥を救ってほしい


ぼくも同じ やっぱり巣から落ちて泣いている小鳥だ

そして強い風に顔を向ける鶏でもあるんだ

だからもしきみがほんとにのぞむなら

ぼくが屋根に登って取ってこよう

ぼくは戦争にだって行ったんだし

なんにも心配しなくていいんだよ


屋根に登ったその時

警官隊の銃声が鳴り響き

彼は冷たい鶏を抱いたまま屋根から落ちる

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