ダラムサラで料理を作る
ダラムサラのレストランの料理は変化に乏しくすぐ飽きてしまうから、最近は自分で作る料理のレパートリーが増えて来た。でもダラムサラの商店で扱っている食材は日本のスーパーマーケットほど豊富でも新鮮でもないし、調味料は香辛料が主なので出汁になるようなものが少ない。そんな制限の中で旨いものを作ろうと思うと、いろいろ工夫しなくちゃいけない。まずは店でできるだけ新鮮な野菜を選んで作る料理を決める。肉は手に入れるのが面倒なのでストックしてある魚缶やランチョンミートの缶詰を使う。食材も調味料も限られているので日本のレシピ通りに作ることはできない。ダラムサラで手に入る調味料は塩(岩塩のピンクソルトが旨い)、黒胡椒(ベトナムの黒胡椒はビックリするくらい旨かった)、砂糖(日本の精製された砂糖より旨い)、醤油(キッコーマン醤油も売ってるけど私は李錦記の「鮮味生抽」と「老抽」を使っている)、味噌(日本人経営の「サクラカフェ」で作っている)、マギーの固形コンソメくらいだろうか。和風出汁や味醂はない。たまたま見つけた新鮮な野菜と缶詰と調味料を組み合わせて料理を作る。でもその制限の中で、できるだけ旨い料理を工夫をするのが面白い。最近作って成功したものでは

ツナ缶を使ったキーマカレー 付け合わせは「Qちゃん」を真似て作ったキュウリ(らしきもの)の漬け物

ナスとピーマンの味噌炒め トロトロの甘いナスとシャキッとした少し苦味のあるピーマンの取り合わせが良い

マッシュルームのガーリックソテー 弱火でじっくり焼いてハーブスパイスをたっぷりかける

漬けアボカド アボカドの熟れ具合と薄切りの玉ねぎがポイント

亜麻仁塩ご飯に漬け物と柚子胡椒(柚子胡椒は旨いけど作るのが大変です)

ジャガイモの煮転がし 煮崩れた部分がご飯に染みて旨い

白菜のクリーム煮 乳製品にアレルギーのある私はココナツミルクを使う

中華乾麺を使った餡掛け焼きそば ココナツミルクが余っていたので入れてみた よい

玉丼 くし切りにした紫玉葱をコンソメで煮てから溶き卵を二つ時間差をつけて入れる

ニンジンしりしり 甘味と香りのある赤ニンジン(日本では見たことがない)を使う インド人はこのニンジンを生で齧る
以前日本にいた頃知り合った方で、ほぼすべてのアレルギー物質にアレルギーを持っている人がいた。蕎麦を食べた時にはすぐ気がついたから命の危機は免れたけど、小麦粉も食べれないので外国に行く時にはとても苦労すると言っていた。私は恵まれていると思う。インドでほぼすべてのものを食うことができて、自分で工夫して旨いものを作ることもできる。ものを食うというのはとても大事なことだ。
でもここで一つ考えてみたいことがある。旨いものを食いたいと思うのは煩悩なのだろうか。煩悩を静めようとするお坊さん(日本を除いて)は一般に粗食である。以前日本でのチベット仏教の先生に「食欲は煩悩です」と言ったら「果たして食欲は煩悩なのだろうか」と逆に問われたことがある。食欲は生きるために必要なことなのでそれを煩悩とは言えないのだろうけど、「より旨いものを食いたい」という欲求は煩悩ではないのだろうか。おそらく煩悩なのだろうと思う。でも、この煩悩は安らかな眠りと同じく容認されていいものである。